県連トピックス



ひょうご政治大学院(自民ひょうご未来塾)第3回講義
中貝宗治前豊岡市長 小さな世界都市づくりを語る
演劇のコミュニケーション能力に視点


 第四期ひょうご政治大学院(自民ひょうご未来塾)の第3回講義が、6月4日午後2時から兵庫県連で行われ、受講生約50人が出席しました。この日は、前豊岡市長で、豊岡アートアクション理事長を務める中貝宗治氏が、「小さな世界都市を創るーLocal&Global」をテーマに、人口減少に対応した地域の活性化について、自らの経験談を織り込みながら示唆に富む提言を投げかけました。
 開会に当たり、ひょうご政治大学院学長で兵庫県連会長の西村康稔衆議院議員は、先に成立した物価高対策を盛り込んだ2022年度補正予算にふれ、「円安にはプラスマイナス両面がある。史上最高収益を上げているL企業も多く、一方、厳しい状況にある企業も少なくない。『全体』と『全員』を分けて考える必要がある。厳しい状況にある人たちには支援を行う目配りが大切」と説明しました。
 そのうえで「参議院選挙の実践活動に参加する機会もある。いろんな経験を通じて将来につなげてほしい」と受講生を激励しました。
 次いで、政治大学院副学長で県連幹事長の藤田孝夫県連幹事長は「選挙テクニックといった部分にとどまらず、地域に貢献する行動指針を見出し、具体的な方向性をつかむ機会にしてもらいたい」と学びの大切さを強調しました。

(左:開会に先立ち、西村康稔県連会長があいさつ、受講生を激励。右:藤田孝夫県連幹事長は学ぶ大切さを強調しました)

 講演に立った中貝氏は、県職員を経て兵庫県議3期、旧豊岡市長1期、合併後の豊岡市長4期を務め、国の天然記念物で、兵庫県の県鳥であるコウノトリの野生復帰をライフワークとして取り組みました。また、市長在任中から演劇に着目、退任後は、「深さを持った演劇のまちづくり」を民間レベルで進めるため、一般社団法人「豊岡アートアクション」を設立、理事長として活動を展開しています。

(中貝宗治氏は、パワーポイントを使いながらコウノトリの野生復帰、演劇のまちとして小さな世界都市をめざすと話しました)

 まず、豊岡市における活性化について、「人口規模は小さくても、世界の人々から尊重される街」をコンセプトとし、小さな世界都市を実現するためのエンジンとして@環境都市「豊岡エコバレー」の創造A受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐB「深さを持った演劇の街」の創造C「ジェンダーギャップ」の解消の4項目を掲げたと提起しました。特に、「グローバル化の進展で世界は急速に小さくなっており、小さな町でも世界と直接に結びつくことが可能になった」とIT技術の進歩に呼応する発想の大切さを強調しました。

大都市との対抗軸は「深さ(蓄積)と広がり」

 豊岡に暮らす価値(魅力)の創造については、「大都市との資本力の差は歴然としており、大きさや高さや速さを競ってはならない。対抗軸は深さ(蓄積)と広がり」と視点を説明しました。
 また、「コウノトリも住める豊かな環境を創る」をまちづくりの目標とし、野生復帰に取り組んだ足跡を紹介、「地域の自然、歴史、文化に深く根ざした世界で輝くことをめざした」と述べました。現在、コウノトリの羽数は全国で300羽近くを数え、「コウノトリを育む農法による水稲作付面積の拡大などが、この結果をもたらした」と総括しました。
 また、演劇の持つコミュニケーション能力に着目、県から譲り受けた大規模会議施設を無償で貸し出し、世界のアーティストが訪れて創作に従事する結果をもたらした経緯を振り返りました。そして「協同して演劇をつくる過程で、他者と向き合い、違いを認識する」と分析,「演劇は他者への想像力を育む」と利点を例示しました。
 さらに、学長に平田オリザ氏を迎え、県立芸術文化観光専門職大学が開学、「閑散期に市内各地を会場にして、市内全域に外国人らを呼び込むことができる」「田舎でも日本中からお金と時間をかけてやってくる」と期待をつなぎつつ、「根付き始めたが、時間の経過に耐えられるのか、地道な努力が必要」と道半ばにあることを訴えました。
 質疑では、「全国発信には、箱根を超える、首都圏のメディアへの直接的な発信が重要。そのための手立てとして但馬空港と羽田との直行便の開設、これを可能にする滑走路の延長などが欠かせない」と課題を提起しました。


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